静かな山奥で、温泉にゆっくり浸かって心身ともに休みたい…
現代社会で日々忙しく働く方であれば、そんな気分になることがあると思います。
そんなときにぴったりなお宿が、新潟県・魚沼市にある栃尾又(とちおまた)温泉・自在館。
昔ながらの湯治文化を維持しながら、現代人にも体験しやすい「プチ湯治」「現代湯治」を推奨されています。心も体も温まる、女性のひとり旅におすすめ「栃尾又温泉・自在館」宿泊記をお届けします。
■静かな山奥でゆったり温泉を楽しむ旅をしたい方
■ひとり旅で温泉を楽しみたい方
■女性ひとり旅でも気兼ねなく滞在できる場所を探している方
■現代湯治・プチ湯治を体験したい方
■ストレス社会に疲れた方
栃尾又温泉・自在館へのアクセス
車で行く場合
関越自動車道・小出ICから約15分
※冬場は除雪が行われますが、主要道路の交通規制情報を確認ください
新幹線で行く場合
上越新幹線・浦佐駅で下車
東京駅からの場合「とき319号(浦佐駅13:13着)」に合わせて無料送迎バスがあります。
新幹線改札を出て階段を下りずに、まっすぐ進んだ先にある「観光案内所・MYU」が送迎バス待合所です。
13:20~13:30頃にスタッフの方が来られます。
送迎バス乗車前に、必要な飲み物・おつまみ等は買っておくことをおすすめします!
自在館は持ち込みOK!
もちろんお宿での食事時にお酒の注文もできます。缶ビールなどは自動販売機があるけど種類は少なめです。
チェックイン
到着後は靴を脱いで、チェックイン手続きをします。
囲炉裏がある、落ち着いたロビーです。
スタッフの方が丁寧に館内の位置関係や、食事場所を説明してくださいました。
が!!しかし!!
1回説明を聞いただけでは理解しにくい複雑な構造をした館内・・・
慣れるまで、館内地図は大切にしましょう。
お部屋に行く前に、ロビー横で作務衣を選びます。
上下セット忘れずに!
大正棟のお部屋
今回はお値段もリーズナブルな「大正棟」に宿泊しました。
ロビーのある「本館」からは2階渡り廊下を通って向かいます。
道路ひとつ分の距離なので、そこまで離れていません。でも、築100年余の木造建築だけあって、大正棟に踏み入れた途端、木の香りをふわ~っと感じました。
古き良き匂い…おばあちゃんちに来たみたいな感覚です。
ひとりで過ごすには十分すぎるほどの広さです。
建物自体は古いですが、きれいに清掃されているのでホコリっぽさなどは全くありません。
廊下を歩くとミシミシ音がします。木造建築ならでは!
廊下に出たときは隣の部屋のテレビ音や話し声が聞こえますが、部屋にいるときは全く気にならなかったです。※大正棟は13歳以上の大人で静かに過ごせる方のみが予約可能です
大正棟の客室設備とアメニティ
大正棟は古さが魅力ですが、通常の旅館・ホテル設備の感覚で行くと「こんなはずじゃなかった」となってしまうので、十分に内容をチェックして理解したうえで予約することをおすすめします。
■洗面所
■トイレ
■冷蔵庫
■ドライヤー
■化粧水・乳液など化粧品類アメニティ
■お茶・お茶菓子
■エアコン・扇風機 ※冬はガスストーブ
■金庫
■タオル・フェイスタオル・歯ブラシ
■フリーWi-Fi
共同のトイレ・洗面所は本館にあります。
渡り廊下わたってすぐの距離なので、不便さはありませんでした。
栃尾又温泉はラジウム温泉
栃尾又温泉・自在館は「日本秘湯を守る会」の会員宿です。
泉質はラドンを多く含んだラジウム泉(放射能泉)。
36~37度のぬる湯に1時間~3時間ほど浸かることで、新陳代謝を促すといわれています。
無色・無臭なので、温水プールに入っている感じ…
じ~っと温泉に浸かっていると、だんだん気持ちよくなって寝そうになります(笑)
これぞ「黙浴(もくよく)」と言える、誰もしゃべらずにお湯と向き合う時間…
ぬるい湯なので、体が温まらないのではという懸念があったのですが、意外と体はポカポカ。
温泉の力って不思議ですね。
大浴場は3カ所あり
大浴場は 「うえの湯」「したの湯」「おくの湯」の3カ所。
栃尾又温泉の共同浴場となっています。
夜は23時まで、朝は5時から男女入れ替わります。
うえの湯・おくの湯
「うえの湯」と「おくの湯」は離れにあります。
自在館からは一度外に出る必要があるため、外用スリッパに履き替えて移動します。
雨や雪の時は傘が必要です。
ぬる湯は加水なし・加温なしの 源泉かけ流しです。
あがり湯は加温されているので、40度前後。それでもぬるいと感じる方もいるかもしれませんね。でも、そういう温泉なんです(笑)
ラジウム温泉は口や鼻から吸うことでも、体の免疫機能に作用するといわれています。
普段はカラスの行水の方も、目を閉じてじっくりお湯に浸かって、心身を整える時間にしてみてはいかがでしょう?
したの湯
「したの湯」はその名の通り、川沿いまで下へ降りていったところにある浴場です。
源泉口が真下にある浴場のため、最も温泉成分が濃い浴場です。
「どこまで続くの??」と思うような60段余の階段を降りていきます。
「したの湯」には洗い場がありません。
体や髪を洗うのは「うえの湯」か「おくの湯」で済ませます。
ぬる湯の湯船は大人7~8人、あがり湯の湯船は2~3人が入れるくらいの広さです。
でもみんな長湯するので、回転が悪いことは否めません。あまり混雑していない平日にゆったり滞在するのがよさそう。
長湯のお供に、温泉に入りながら本を読んでいる人もいました。
貸切風呂
自在館には貸切風呂が3カ所あります。
「うさぎの湯」「たぬきの湯」「うけづの湯」、それぞれ広さや趣きも異なります。
露天風呂は「うけづの湯」のみです。
1回45分の予約制で、宿泊者は無料で利用できます。
貸切風呂の予約台帳にある希望の時間枠に、手書きで名前を記入するのみ。
私は「うけづの湯」に入りました。
「うけづの湯」には洗い場はありません。加温されているので、泉温は40度ほど。
共同浴場のあがり湯と同じくらいなので、ぬるすぎず熱すぎず、ちょうどいい湯加減です。
身体に優しい一汁四菜の夕食
ラジウム温泉で整えたあとは、バランスのとれた一汁四菜の夕食!
予約プラン詳細には「お食事控えめ」と記載されていたのですが、女性ひとりには十分な量でした。
この日のお品書き
・茄子のみそしぎ
・糸瓜のサラダ
・里芋まんじゅう
・豚ロースと野菜の冷しゃぶ
・蓮根のすり流し汁
・魚沼産コシヒカリ
・温泉ゼリーとフルーツ
正直に言う。
全部美味しい!!!
身体が喜んでる(笑)
魚沼産コシヒカリも絶品。お米ってこんなに甘くて柔らかいのか、と感動します。
オプションで鴨鍋を注文したのですが、これもまた美味。
新潟と言えば、日本酒でしょう!飲まないわけにいかない…!
魚沼・緑川酒造の「緑川 生酒」を頂きました。
淡麗辛口、でもマイルドでグイグイ飲みすぎてしまう 飲みやすさ。
緑川酒造は公式サイトがなく、信頼できる特約店にしか商品を卸していないそうです。
この地で出会えたことに感謝して、貴重な銘酒を味わいました。
館内の過ごし方
和と洋が入り混じった落ち着いた雰囲気のラウンジです。
何だかビンテージっぽいピアノやギターもあります。
本棚には、文庫本や温泉科学にまつわる本、『孤独のグルメ』、『H2』、『聖☆おにいさん』など漫画本もあり、様々なジャンルがずらり。
冷たいラジウム温泉水や、麦茶、コーヒーは24時間無料。
静かな空間でゆったり本を読む、贅沢な時間です。
売店スペースがちょこんと設けられています。
よくある箱もの土産ではなく、魚沼産コシヒカリ、にんにく、しいたけ、車麩など郷土食材が主です。
浦佐駅までの復路送迎バスを利用する場合は、10分程「道の駅ゆのたに(深雪の里)」に立ち寄り、お土産を買うタイミングがありました。
身体に優しい朝食
朝食もバランスが取れたメニュー。
「栃尾又温泉のラジウム納豆」なるものが。
新潟県産の大豆と栃尾又温泉の温泉水を使用した、自在館でしか買えない納豆だそうです。
大粒で食べ応えある大豆でした。ポン酢で食べるのが“通”とのこと。
個人的にはお粥もめちゃくちゃ美味しかったです。
お粥も温泉水使っているのかな?米のうまさ・濃厚さが胃にじんわり沁みわたりました。
人の温もりを感じるほっこりポイント
自在館に滞在中、所々で気持ちがほっこりする心づかいを感じました。
自然の中なので、虫はつきもの。
都会で暮らしていると、あまりお目にかからない虫も部屋にやってきます。
ガムテープを使ったカメ虫退治の方法は、おとぎ話絵本のようになっていて、楽しみながら「来るべき決戦(!?)」に備えることができました。
※幸い、私はカメ虫には遭遇することがなかったです!
部屋の金庫に貼ってあった「プチ スマホ断ち」のススメ。
何もかも忘れて、温泉で心身を整えることが湯治の目的であれば、このスマホ断ちはアリですね。
館内のいたるところに、可愛いイラスト案内や温泉案内があり、湯守さんの想いが詰まっています。
夕食時のお品書きは「調理場直行便」と書かれた調理スタッフ宛のメッセージカードも兼ねており、宿泊者と自在館で働くスタッフの方々の心をつなぐものになっていました。
湯治で長く滞在される方や、ひとりで滞在される方が多いと思いますが、ちょうどよい人との距離感、温もりを感じられるお宿だなと思いました。
自在館の周辺
自在館のすぐ横には「栃尾又の大杉」「栃尾又の夫婦欅(めおとけやき)」など巨木がそびえ立っています。
「栃尾又の夫婦欅(めおとけやき)」の2本の木の間をくぐると“子宝に恵まれる”のだとか。
栃尾又薬師堂は、栃尾又温泉を訪れた湯治客が病気平癒を祈願したり、子供を望むご夫婦が子宝祈願にお参りされるそうです。
子授け絵馬がたくさん奉納されています。ぎょっとするくらいキューピーさんも多数(笑)
絵馬やお札、安産祈願お守り、キューピー人形は自在館の帳場(フロント)で購入できます。
栃尾又温泉はひとり旅で行くべし
私が栃尾又温泉・自在館を知ったのは、「一人旅ブームですが、「ウチは昔から お一人様大歓迎の宿です!」と、叫びたい」という自在館の若旦那さんが書かれたブログがきっかけでした。
「温泉好き、ひとり旅好きの私にぴったりのお宿ではないか!!」
さっそく予約をして、実際に滞在してみて、感じたこと。
“ひとり旅におすすめ”というより、むしろ“ひとり旅で行くべし”
静かに過ごすことが前提の湯治宿なので、ひとりでじっくり、温泉に浸かり、心を休める場所です。なので、複数人グループや子連れファミリーには不向きです!(断言)
女性のひとり旅にはとってもおすすめ!
スタッフの方々の心配りや、素朴で美味しいお料理、貴重なラジウム温泉で1~2泊のプチ湯治体験が叶う場所。
ひとり旅でも孤独を感じることはない、温かみのあるお宿でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!